womb
生物が誕生する時、胎内で聴取していた音風景がわたしたちの音楽の原点であるならば — — 。本研究作品は、人間が母体の中で経験する子宮内部の音に着目し、そこで聴こえていたであろう音を要素に作曲を行うことで、音楽の原点を辿り、人間が身体的・精神的な超越へと昇華させる生命のリズムを探究する。
作品の着想として、持続と変化を循環的に反復することで身体に作用するテクノミュージックと、子宮内部で聴取していたであろう内界/外界からの音経験に音響的共通点が見られるのではないかという仮説がある。胎内環境では、自分自身の心臓や母体の心臓、血流、呼吸、筋収縮などを発する内界音と子宮外から聴こえてくる生活音や環境音などの外界音があり、それら複数の音が重なりあった音風景が私たちの生命誕生時の原体験である。この世に誕生する際に経験する母体の中での音響世界が、世界で初めて知覚する音経験であるとするならば、それは生物が最初に触れ合う音楽の原点であるとも解釈できる。
本作品では、人間が出生前に胎内で触れ合っていたであろう「子宮の中で響き渡る音」を再現した音楽制作に試みる。具体的方法としては、聴診器を活用して体内音を録音し、さらに子宮を再現した環境下で外界音を録音し、それを融合させることで、子宮の中で繰り広げられている生命のリズム=音楽を探求する。
- Credits
- Miki Kanda